2017.11.17
昭和38年(1963年)11〜12月の主な出来事
1963年11月は世界史をゆるがす大事件が起こりました。
ケネディ米大統領の暗殺事件です。
又、日本でも二つの大事故が起こりました。三池炭鉱事故と鶴見事故です。この大事件に関する記事を中心に、「新聞集成 昭和編年史」38年版VIを作成いたしました。平成29年2月に刊行されています。
昭和38年(1963年)11〜12月の主な出来事
「昭和編年史」38年版VI付録の年表より
注:世界の出来事の日時は現地時間です
○世界
11.1 ・南ベトナムで軍部の第1次クーデター(指導者ドン・バンミン少将)。軍事革命委を設立
11.2 ・南ベトナム、クーデター成功。ゴ大統領兄弟殺害、憲法・大統領制の停止、国会解散
11.4 ・南ベトナム、臨時政府樹立
11.7 ・米国、南ベトナム新政府を承認
11.13 ・国連総会、南アフリカ共和国
の人種差別政策を非難し経済制裁を決議
11.18 ・アレフ・イラク大統領、軍を指揮してのクーデター。全権を掌握。新革命評議会成立
11.20 ・国連総会で「人種差別撤廃に関する国連宣言」を採択
11.20 ・シアヌーク・カンボジア元首、プノンペンで米の軍事・経済援助の全面停止を申入れる
11.20 ・イラクで新内閣発足。首相にヤヒア参謀総長
11.22 ・ケネディ米大統領、テキサス州ダラスで暗殺される、46歳。容疑者オズワルド逮捕。ジョンソン副大統領(民主党)、36代大統領に昇格
11.24 ・ケネディ米大統領暗殺容疑者オズワルド、ダラス市拘置所で護送車に乗る際、ジャック・ルビーに射殺される
11.25 ・ケネディ前米大統領の葬儀がワシントンの聖マタイ寺院で行われる
11.26 ・韓国国会議員選挙、与党民主共和党が175席中110議席確保
11.27 ・ジョンソン米新大統領、上下両院で初の演説。故大統領の政策を継承する方針を表明
11.29 ・ジョンソン米大統領、ウォーレン最高裁首席判事を長とするケネディ暗殺特別調査委員会を設置
12.3 ・シアヌーク・カンボジア元首、南ベトナム中立化とカンボジアとの国家連合を提唱
12.4 ・米国、南ベトナム中立化についてのシアヌーク元首の提案に反対を表明
12.12 ・英領ケニア、英連邦内自治国として独立。1964年、共和国となる
12.12 ・韓国、崔斗善内閣成立
12.13 ・周恩来中共首相、アフリカ諸国訪問に出発(〜1964.2.5)
12.13 ・フルシチョフ・ソ連首相、共産党中央委総会の結語演説で、「兵力削減と軍事予算縮小を考慮している」と言明
12.17 ・ソウルで朴正煕韓国大統領就任式挙行。民政移管、第三共和国発足
12.17 ・ジョンソン米大統領、国連総会で初の演説。冷戦の終結を望む
12.17 ・東独政府・西ベルリン市、西ベルリン市民のクリスマス期間中東独訪問のための協定調印
12.22 ・キプロスでギリシア系・トルコ系両住民間に武力衝突発生。キプロス紛争の再発・拡大
12.29 ・シアヌーク・カンボジア元首、中立保障に失敗すれば中共と同盟締結と言明
12.31 ・フルシチョフ・ソ連首相、各国首脳宛て書簡で、領土と国境紛争解決に武力不行使協定締結を提案
○外交・政治・国防・沖縄
11.12 ・閣議、39年度から外貨予算制度を廃止、観光渡航自由化を了承
11.21 ・第30回衆議院議員総選挙。自民党283・社会144・民社23・共産5、無所属12。自社両党の停滞に対して民社躍進。投票率は71.14%で戦後2番目の低率
11.25 ・池田首相、ケネディ米大統領の葬儀参列。ジョンソン新大統領と会見
12.2 ・池田首相、39年度予算編成で選挙公約通り2300億円程度の減税を検討するよう田中蔵相らに指示
12.4 ・第45特別国会召集(12.18閉会)。衆議院正副議長・常任委員の配分をめぐり与野党対立、首班指名は持越す
12.7 ・衆議院正副議長選挙。船田中議長(自民)、田中伊三次副議長(自民)を選出
12.9 ・衆参両院、池田勇人を首相に指名、第3次池田内閣成立。憲政史上異例の前閣僚全員留任
12.16 ・大野自民党副総裁、ソウルへ出発(〜12.20)。朴正煕韓国大統領就任式典に出席。12.18朴大統領と会談
12.18 ・教科書無償措置法案・標準法改正案、参院通過。12.21公布。各教科1種の広域採択制・教科書出版会社の指定制など規定
12.18 ・第45特別国会閉会。38年度補正予算が成立
12.20 ・東京都昭島市当局と市議会、米空軍F105戦闘爆撃機横田移駐に反対し、21日から移駐反対の署名活動開始を決定
12.20 ・岩国市議会、航空自衛隊F86Fジェット戦闘機隊の岩国基地移駐を条件つきで了承
12.30 ・賀屋法相、中共油圧機器視察団通訳の周鴻慶亡命事件で本国送還を決定
12.31 ・日米両国政府、在日米軍の一部引揚・配置替えにつき合意、日米合同発表
○経済・産業・国土開発・人口・労働
11.1 ・大蔵省、前年からのニセ札大量使用に対処し、カラー・色刷りの新千円札(伊藤博文)を約14年ぶりに発行。旧千円のニセ札事件は迷宮入り。約1000万札が出回る
11.1 ・東海村原子力発電所、動力試験炉運転をめぐり争議
11.2 ・大蔵省、貿易外取引管理令公布。貿易・為替の自由化進む。11.20施行
11.6 ・四日市午起コンビナート(第2コンビナート)の合同完工式挙行。石油-石油化学-電力の、全国で初めての結合
11.9 ・北京で長崎国旗事件(昭和33年)以降中断していた日中民間漁業協定調印。黄海・東シナ海漁業の安全操業協定なる。期間2年で出漁船数を増やし、一部で鯛の漁獲制限を設ける
11.13 ・郵政省、衛星利用の国際通信開発のため国際電電に実験局予備免許を付与。五輪中継の放送体制が整う
11.15 ・国際電電宇宙通信実験局が茨城県十王町に完成。直径20mのパラボラアンテナで人工衛星による宇宙通信を行う。11.20開所
11.16 ・東海村の日本原子力発電所、労使交渉で歩み寄り、動力試験炉建設再開で協定
11.23 ・日米初のテレビ宇宙中継に成功(リレー1号衛星)。放送中に発生したケネディ大統領暗殺ニュースを伝える
11.25 ・東証株価、ケネディ大統領暗殺で53円69銭安1231円81銭と暴落
11.29 ・リレー1号衛星による欧州-米国-日本を結ぶ初のテレビ中継実験成功
11.29 ・ロイド船級協会、前年の日本の商船進水トン数は218万3000tで世界1位と発表
11.29 ・出光興産(出光佐三社長)、石油連盟を脱退
11.30 ・東京都交通局、新宿駅西口-荻窪の都電14系統(杉並線)を廃止。都電廃止第1号となる
12.1 ・茨城県東海村の日本原子力研究所の動力試験炉が、熱出力4万5000kwの最高出力に達する
12.9 ・物価問題懇談会(中山伊知郎座長)、最終報告書を提出。公共料金引上げ1年間停止など
12.11 ・航空審議会(平山孝委員長)、新東京国際空港の候補地に千葉県富里村付近を最適と綾部運輸相に答申
12.14 ・沼津・三島地区石油コンビナート建設に対する関係会社の基本計画発表
12.16 ・日銀、準備預金率の引上げ実施。金融引締め政策を打ち出す
12.16 ・東京・西落合-谷原町間でオリンピック道路第1号(放射7号線)が完成。五輪道路23路線中最初の工事完了道路となる
12.17 ・経済企画庁、37年度国民所得を閣議に報告。経済成長率(実質)5.9%
12.18 ・税制調査会(中山伊知郎会長)、減税答申。所得税の減税・企業課税の軽減・住民税の不釣合いの是正。所得減税は平年度925億円
12.18 ・国連食糧農業機構(FAO)の漁業統計年鑑で、37年の世界の漁獲高で日本が首位
12.19 ・大阪商船・三井船舶が合併調印。39.4.1「大阪商船三井船舶」発足
12.20 ・川崎汽船・飯野海運が合併調印。「海運再建2法」に基づく海運業の集約化終る
12.24 ・三井三池鉱業所、生産を再開。炭鉱事故から46日目
12.25 ・日銀券発行残高、2兆円の大台突破
12.25 ・総理府統計局、1 0 . 1 現在推計人口9616万人、前年比約97万8000人増と発表
12.26 ・総理府統計局、38年の東京都消費者物価動向を発表。消費者物価指数平均は37年比7.9%の上昇
12.27 ・労働省、「最近における賃金の動向について」発表。賃金上昇が生産性の向上を上回り、物価上昇の一因となったと指摘
12.28 ・厚生省、38年の人口動態を発表。死亡率、戦前戦後を通じて最低を記録
12.31 ・日本銀行、日銀券の越年発行残高は2兆574億円と発表。前年は1兆7459億円
○事件・事故・公害・社会
11.4 ・朝日訴訟第二審判決。生活扶助基準が低額なことは認めつつも違法と断定できず、と国側勝訴の判決。原告朝日茂、上告
11.5 ・池田勇人首相殺人未遂事件。福島県郡山市の野外演説会後、大日本愛国青年連盟会長が池田首相を短刀で襲ったが難を逃がれる
11.7 ・徳島地検、森永ヒ素ミルク事件の無罪判決を不服とし、高松高裁に控訴
11.9 ・三井三池炭鉱事故。日本一のビルド炭鉱・大牟田市の三池三川鉱で炭塵爆発(送電線のスパーク)。1ヵ月後の調べで死者458人、入院中の重症負傷者280人、この他に軽傷とみなされる患者多数。一酸化炭素中毒後遺症が問題化、入院患者の多くは記憶を喪失。戦後最大の事故
11.9 ・鶴見事故。横浜市鶴見区の東海道線鶴見-新子安間で下り貨物列車が脱線、3両が横須賀線へ転覆。更に横須賀線上下電車が二重衝突の大惨事。三枝博音)横浜市立大学学長ら161人死亡、120人負傷
11.9 ・右翼の田中清玄、暴力団東声会会員にピストルで撃たれ重体
11.13 ・野坂参三日共議長、大阪市東淀川区で演説中、元大日本護
国団員に短刀で襲われたが未遂
11.18 ・名阪バラバラ殺人事件。名古屋市中村区の東海道線下に男の足、翌日大阪市生野区で紙包みの胴体、39年1月に堺市の大和川で両腕を発見。東大阪市の工員が、発作的に暴れた兄を押さえつけると急死したと自供
11.19 ・東京都首都整備局、スモッグ対策データ収集のため、気象庁と協力し飛行機で初の高空観測を実施
11.19 ・炭労、三池災害への弔慰と抗議のため61支部3万6千人が1時間50分スト。大牟田地区労主催の三池三川鉱災害責任追及抗議大集会で「たいまつデモ」行なう
11.22 ・9日の国鉄鶴見事故犠牲者の合同慰霊祭、横浜市の総持寺で石田国鉄総裁を施主として挙行
11.24 ・三井三池鉱爆発事故犠牲者の殉職者社葬、約5000人の遺族らが参列し大牟田市体育館で行われる
11.25 ・東京都、「空をきれいにする運動」を展開。ビル暖房監視の強化など(〜12.24)
11.25 ・政府委託の公害特別調査団(黒川調査団)、四日市市で調査を実施(〜11.29)
11.- ・地婦連など、悪書追放の全国運動を展開、悪書追放への協力を日本出版協会に依頼(〜12.6)
11.- ・警察庁のまとめによると、38年11月末までに麻薬犯が全国で3114件検挙され、戦後最高となる
12.1 ・吉田石松没(84歳)冤罪被害者。昭和の「巌窟王」
12.7 ・東京地裁、原爆被害者5人の国に対する損害賠償支払い要求に、「原爆投下は国際法違反であるが個人に賠償請求権はない」と判決
12.8 ・プロレスラー力道山、東京赤坂のキャバレーで暴力団に腹部を刺される。12.15死亡
12.10 ・東京都、オリンピックに向けて街路灯整備・河川浄化・カとハエをなくす運動など首都美化運動強化の方針決定
12.12 ・三池炭鉱の事故による中毒患者総数281人、そのうち昏睡の続いている患者4人・精神障害の残った患者56人・健忘症患者138人・運動障害のある者83人。三井三池炭鉱事故対策本部医療保健委員会指導部会部会長勝木司馬之助九大教授発表
12.12 ・福岡県田川市上尊鉱業糒炭鉱でガス爆発、10人死亡1人重体
12.13 ・総評秋闘、第3次統一行動日。動力車労、全国6機関区で2時間スト。公労協、第2次統一行動(〜1.17)、全国7都市で座り込み。郵政省、全逓の超勤拒否闘争による通常郵便物の滞貨は全国で110万7000通と発表
12.15 ・三島市にコンビナート進出反対のための石油コンビナート対策市民懇談会結成
12.18 ・吉岡金市同朋大教授、富山県を訪れイタイイタイ病の研究資料を採取。神岡鉱山のカドミウム原因説を記者会見で発表
12.19 ・国鉄諮問委員会(原安三郎委員長)、鶴見事故に関し意見書を提出。事故の原因を過密ダイヤにありとし、国鉄の輸送力強化投資の不足などを指摘
12.22 ・三池三川鉱爆発事故の原因を究明する政府の技術調査団(団長山田穣九大名誉教授)、報告書をまとめる。炭車逸走で炭じんが舞上がり、引火大爆発となる
12.24 ・生活環境施設整備緊急措置法公布。39年度から5年計画で、ゴミ・屎尿・下水の処理を急ぐというもの
12.26 ・最高裁、砂川事件再上告を棄却。7被告全員の有罪確定
12.27 ・三井三池災害医療調査団(内村祐之団長)、小林厚相・大橋労相に調査結果報告。後遺症に対する長期治療指針の作成と中央の指導体制の必要性を指摘
12.27 ・10.7ソ連大使館に保護を求めた周鴻慶、東京入国管理事務所で中国帰還意思を再確認し声明発表
12.- ・熊野灘沿岸の海山町より、原子力発電所建設反対の声が起きる
○教育・科学・文化・スポーツ
11.2 ・インド古代美術展(〜39.1.12東京)
11.4 ・プロ野球日本シリーズで、巨人が西鉄に勝ち6度目の優勝
11.5 ・第1回野間児童文芸賞、石森延男の『バンのみやげ話』(東都書房)、中川李枝子の『いやいやえん』(福音館)が受賞
11.8 ・38年度プロ野球最優秀選手、セは巨人の長嶋茂雄、パは南海の野村克也に決定
11.10 ・オートバイ世界選手権第1回日本グランプリ大会、三重県の鈴鹿サーキットで開催。日本車が圧勝
11.15 ・医学連インターン闘争、中央集会(清水谷公園)に全国31大学代表・関東ブロック学生約1000人が参加、のち厚生省にデモ
11.16 ・能力開発研究所(森戸辰男理事長) 、大学進学希望者に初の「能研テスト」全国1 8 1 9会場で実施。高校生や浪人3 6万2000余人が受験
11.21 ・東京高裁、小説『悪徳の栄え』(マルキ・ド・サド著)邦訳出版控訴審で、発行者ら2被告に猥褻文書販売・所持罪で原判決破棄のうえ有罪と判決
11.25 ・「喜びの琴」事件。三島由紀夫、『喜びの琴』(「文芸」39年2月号)上演中止問題で文学座を脱退、のち矢代静一・賀原夏子らも退座
12.2 ・佐佐木信綱没(91歳)歌人
12.6 ・日本ガン治療学会が発足、京都市で初の学会開催(〜12.7)。ガンの臨床部門を研究
12.6 ・第5回日本レコード大賞に、梓みちよ『こんにちは赤ちゃん』が決定。作詞永六輔、作曲中村八大。大ヒットとなる
12.9 ・東京大学鹿児島宇宙空間観測所の開所式、茅誠司東大総長らが参加し鹿児島県内之浦で行われる
12.9 ・日教組、「日の丸」「君が代」反対の態度を改め、「強制には反対だが国旗を掲揚することは差し支えない」と全国に通達。東京オリンピックを前にし国民感情を考慮
12.11 ・東大生産研、国産最大の観測ロケット「ラムダ2型2号機」を発射、高度410kmに到達。米につぐ記録
12.12 ・小津安二郎没(60歳)映画監督
12.21 ・出版倫理協議会(布川角左衛門議長)発足。日本雑誌協会・日本書籍出版協会・日本出版取次協会・日本出版物小売業組合全国連合会の4団体、悪書追放へ団結
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