2022.11.15
昭和29年(1954年)11〜12月の主な出来事
昭和29年(1954年)11〜12月の主な出来事----世界
11.1・アルジェリアで民族解放戦線(FLN)が武装蜂起、独立戦争始まる
11.7・米国務省、北海道沖上空で米国のB29型機1機がソ連戦闘機に撃墜され、ソ連に抗議したと発表
11.14・エジプト革命会議、ナギブ大統領解任を発表。ナセル首相、大統領代理に。ナセル首相とナギブ大統領との権力闘争で、大統領が政府転覆の陰謀(10.26)に関係したため
11.16・コリンズ米大統領特使、南ベトナムの防共態勢強化のため米軍事顧問による南ベトナム軍訓練を公表
11.27・韓国国会、初代大統領に限り何選でも認める憲法改正案を1票差で否決。11.28韓国政府、「憲法改正案が成立と解釈する」と発表
11.29・ソ連・東欧諸国、モスクワで欧州安全保障会議開催。12.3参加8ヵ国代表、西側9ヵ国のパリ協定(10.23調印)に共同防衛で対抗する共同宣言調印
12.2・米・国府相互安全保障条約調印。12.10ダレス米国務長官・葉公超外交部長間で、国府は米国の同意なしに大陸反攻はおこなわない旨の公文をかわす
12.4・米上院、マッカーシー上院議員問責決議を採択
12.4・国連総会、米国提案の原子力平和利用決議を全会一致で採択
12.10・国連総会、中共の米空軍機乗員の投獄は朝鮮休戦協定違反と宣言
12.11・米海軍、世界最大の空母「フォレスタル」進水
12.23・ネール・インド首相とチトー・ユーゴ大統領、両国関係強化をうたう共同声明をニューデリーで発表
12.24・ベリヤ事件でソ連元保安相が死刑判決、と新聞報道
12.28・コロンボ諸国首相会議、インドネシアのボゴールで開催(〜12.29)。1955年開催のアジア・アフリカ会議に日本と中共招請を決定
12.29・仏とインドシナ3国、通貨協定に調印。ベトナム・ラオス・カンボジアの独立完成
昭和29年(1954年)11〜12月の主な出来事----外交・政治・軍事・沖縄
11.1・新党結成準備会、委員長に鳩山一郎決定。保守系の改進党・日本自由党・自由党反吉田勢力の結集。11.8自由党、岸信介・石橋湛山を除名
11.2・米極東軍、第8軍司令部をソウルから神奈川県座間に移駐
11.5・日本・ビルマ平和条約と賠償・経済協力協定、ラングーンで調印。昭和30.4.16発効
11.8・吉田首相、ワシントンのナショナル・プレス・クラブでの演説で、アジア経済協力機構設立を提唱
11.9・吉田首相、アイゼンハワー大統領・ダレス国務長官と会談。11.10日米共同声明発表、アジア経済支援・日本の貿易拡大に協力
11.10・左右両派社会党、委員長・書記長ら6者会談。統一促進で合意
11.12・重光改進党総裁、党両院議員総会で新党創立委員会への挙党参加を提案、承認される
11.13・米国務省、「関税引下げのため対日交渉の用意がある」と声明
11.13・米国の余剰農産物買付け交渉妥結。総額1億ドル、円資金7割借款。学童給食など贈与
11.15・新党創立委員会発足。委員長に鳩山一郎
11.16・衆議院決算委員会、造船疑獄などについて吉田首相の再喚問決定
11.17・防衛庁、戦後初の軍艦級艦艇7隻の発注を決定
11.20・防衛庁、航空自衛隊の少年自衛隊員を募集開始。今年度から初めての募集。12.20募集締め切り時点で採用数310人に1万995人が応募
11.20・左右両派社会党、共同政権樹立に備え、新政策大綱を発表
11.22・吉田首相、自由党幹部に「自身の進退及び政局打開策を合議に一任」との書簡を送る
11.22・自由党分裂、日本自由党解党
11.23・改進党、第7回臨時党大会で新党結成に向け解党を決定
11.24・日本民主党結党大会。総裁に鳩山一郎・幹事長に岸信介。吉田内閣打倒を明示
11.24・最高裁、新潟公安条例を合憲と判決。公安条例に対する初の最高裁判決
11.27・カンボジア政府、日本政府に対日賠償請求権放棄を通告
11.27・経済4団体首脳会談で、政局に対する財界の態度を協議。解散回避に努力することで意見一致
11.28・自由党臨時総務会と両院議員総会、吉田総裁の勇退と後任総裁に緒方竹虎副総理推薦を決定。日本民主党に同時解党・総裁公選による保守合同申入れを決める
11.29・日本民主党、総務会で自由党の保守合同申入れ拒否を決定
11.30・第20臨時国会召集(〜12.9)
12.4・衆議院予算委員会、民主・両派社会党共同提案の吉田首相問責決議案を可決
12.6・民主・両社3党、共同で内閣不信任案提出。吉田首相、池田自由党幹事長に解散の方針を指示
12.6・衆議院決算委員会、造船疑獄に関する吉田首相証人不出頭で弾劾決議を可決
12.7・吉田内閣総辞職。吉田首相、自由党総裁辞任
12.8・自由党両院議員総会、緒方竹虎を新総裁に決定
12.9・衆参両院、鳩山一郎民主党総裁を首相に指名
12.9・民主・両社3党、昭和30年3月上旬までに総選挙を行うと共同声明
12.10・第1次鳩山内閣成立。石橋湛山通産相・重光葵外相・一万田尚登蔵相・河野一郎農相など
12.10・第21通常国会召集(〜昭和30.1.24解散)
12.11・重光外相、新内閣の外交方針について説明、対共産圏関係改善の方針を表明
12.14・売春等処罰法案、婦人議員が中心となり第21通常国会に提出(廃案)
12.16・モロトフ・ソ連外相、重光外相の新外交政策に「ソ連政府は日ソ関係正常化の用意がある」との声明発表
12.19・鳩山首相、名古屋・岐阜で組閣後初の遊説。「対ソ共存」「台湾も中国も共に独立国」と言明
12.21・鳩山首相、組閣後初の衆議院予算委員会で「自衛隊は自衛のための軍隊で合憲」と答弁
12.22・大村防衛庁長官、衆議院予算委員会で「自衛隊は合憲」との政府の統一解釈を発表。
12.23・マイヤー米公使、対外活動本部(FOA)東京所長として来日
12.25・外務省、訪ソ日本レスリング選手団に旅券発行承諾。訪ソ一般旅券の第1号
12.29・アリソン駐日米大使・ハル米極東軍司令官、鳩山首相と日米親善増進で懇談
12.30・一万田蔵相、アリソン駐日米大使と会談。防衛分担金削減要請の日米防衛折衝開始
昭和29年(1954年)11〜12月の主な出来事----経済・産業・技術
11.1・大蔵省、ドル・ユーザンス第1次受付実施
11.2・通産省、綿・スフ織物業生産設備制限規則、未登録綿・スフ機械設置制限規則を各公布。綿・スフ機械の新増設を制限
11.10・通産省、バーター貿易制度を再改正。中共貿易対策決る
11.13・米国の余剰農産物買付け交渉妥結。総額1億ドル、円資金7割借款。学童給食など贈与
11.15・全国農業協同組合中央会発足。会長に荷見安全国指導農業協同組合連合会長
11.27・経済4団体首脳会談で、政局に対する財界の態度を協議。解散回避に努力することで意見一致
11.-・トヨタ自動車工業、週休2日制実施
12.3・米国、日本航空那覇線の香港への延長を許可。昭和30年2月4日から開通
12.6・IMF理事会、日本の為替制限について出血補償リンク制廃止の勧告案を採択
12.11・一万田日銀総裁、蔵相就任のため辞任。後任に新木栄吉元日銀総裁、前駐米大使
12.18・ニューヨーク市の消防長官、「日本製のセルロイドのオモチャは燃えやすく危険、販売中止を指示」と発表。オモチャ業界に打撃
12.22・新木日銀総裁、外国為替特別会計の日銀移管後に金為替本位制度へ移行を言明
12.23・アイゼンハワー米大統領、日本の絹スカーフ関税引上げに反対の書簡を米関税委員会に送る
12.24・通産省、外貨資金特別割当制による外貨割当率の引下げを発表。現行の輸出代金の10%から5%に引下げ
12.25・通産省、家庭用ミシン頭部の対米輸出停止を解除
12.28・経済審議庁、昭和29年の特需契約総額2億5306万ドルと発表。朝鮮戦争終結により前年実績の43%減
12.-・年末日銀券発行残高6220億円
昭和29年(1954年)11〜12月の主な出来事----社会(市民運動、労働運動、医療、事件事故)
11.1・東京・神田橋職安が女子専門、飯田橋職安が男子専門の職安として発足。神田橋職安には初日に650人もの求職者が押し寄せる
11.2・憲法擁護連合、左右両社・労農3党と合同会議開催。「憲法改正反対の論点」を発表
11.4・日本赤十字社主催の中共赤十字社訪日代表団(李徳全団長)歓迎大会、東京・神田共立講堂で開催
11.5・広島市原爆障害者治療対策協議会、障害者の実態調査結果を発表。3111人の生存障害者が判明
11.9・警視庁、警官600人を動員し御徒町のマーケット内を興奮剤取締法違反容疑で家宅捜査。「ヒロポン禍」問題に
11.12・東京で精神障害児教育振興大会開催。特殊学級設置義務化などを都財務局に陳情
11.13・家族制度復活反対総決起大会、東京で開催。自由・改進両党の憲法改正試案にもられた「家族制度復活」に反対し、主婦連など22団体約2000人が参加
11.13・今村均元陸軍大将、戦犯の刑期を満了し巣鴨刑務所を出所
11.21・国土緑化推進委員会・主婦連・林野庁など、森林資源保護のため門松・クリスマスツリー自粛運動を展開、と新聞報道
11.23・学徒援護会、模範学生アルバイトとして5人に第1回幣原記念賞を授賞
11.24・最高裁、新潟公安条例を合憲と判決。公安条例に対する初の最高裁判決
11.24・奈良県斑鳩の中宮尼寺門跡、一条尊昭尼が書道の弟子で15歳下の大学生と同棲し還俗
11.25・日本医師会主催の全国医師会大会、東京で開催。医薬分業に反対し厚生省へデモ
11.28・富士山7合目で新雪表層雪崩が発生、大学生15人死亡
11.29・全国薬剤師大会、医薬分業実施を決議
11.30・中共帰国船「興安丸」、初のベトナム引揚者71人を含む604人を乗せ舞鶴入港。中共赤十字社李徳全女史一行の来日によって帰国が実現
12.3・労働省婦人少年局、日本で最初の「働く婦人の家」として神奈川県に勤労婦人会館を開設
12.8・全日本在郷軍人会結成。軍人軍属など14万人で組織、会長根本博元陸軍中将。戦争による犠牲者の遺家族の援助と遺族の育英が目的
12.14・売春等処罰法案、婦人議員が中心となり第21通常国会に提出(廃案)
12.14・原水爆禁止署名運動全国協議会の集計で、署名数が14日現在2008万1232人に達する
12.15・ABCCのロビンソン博士らにより被爆第4号馬が発見される。爆心地より520mの新市場で被爆
12.18・秋田・岩手県教組、少年自衛隊募集に協力せずと態度決定。田中文部次官、「決定は教育2法・教育基本法違反の疑い」と言明
12.22・原爆被害対策協議会食品衛生部会、放射性物質によるマグロ汚染状況の結果を発表。「マグロはもう無検査で食べても大丈夫」と発表。12.31焼津など5港で実施されていたマグロの港頭検査廃止
12.22・東京・瑞穂町に米軍機1機が墜落。福生署、乗組員1人の死亡を確認
12.23・最高裁、昭和24年6月10日の「人民電車事件」で国鉄東神奈川車掌区労組員31人の上告棄却、一審差戻し
12.26・日本製鋼室蘭製作所争議で、第1組合が中労委の斡旋案受諾を決定。193日目に解決。デフレ下の人員整理反対の典型的闘争。12.30妥結の調印式
12.-・主婦連、牛乳値下げ運動
1954.-・熊本県水俣湾周辺で猫の狂死が頻発
昭和29年(1954年)11〜12月の主な出来事----教育・科学・文化・スポーツ
11.1・青ヶ島学術調査団、初の総合的科学調査に東京港出発(〜11.21)。厚生省人口問題研究所篠崎信男団長、東大人類学教室員らで島民の体位・風習・生活や天然資源などを調査
11.1・来日した中共赤十字社代表李徳全女史の一行を迎え、神奈川県藤沢市鵠沼海岸で新中国国家作曲者聶耳(ニエ・アル)記念碑除幕式を挙行。同氏は昭和10年7月、日本に亡命中同海岸で水死
11.3・文化勲章授与式。鏑木清方・金田一京助・高浜虚子ら5人
11.3・法隆寺金堂、20年ぶりに昭和大修理を完了、落慶法要
11.3・最初の特撮怪獣映画『ゴジラ』封切り。東宝・特撮監督円谷英二。米国にも輸出される
11.4・清水脩作曲の歌劇『修禅寺物語』、大阪・朝日会館で初演(〜11.6)
11.6・プーシキン原作ムソルグスキー作曲の歌劇『ボリス・ゴドゥノフ』、日比谷公会堂で初演(〜11.7)
11.7・プロ野球日本シリーズで、中日が西鉄を破り初優勝
11.8・仏チェリストのピエール・フルニエ、日比谷公会堂で独奏会。11.9独ピアニストのウィルヘルム・ケンプと共演
11.12・東京で精神障害児教育振興大会開催。特殊学級設置義務化などを都財務局に陳情
11.12・全日本医学生連合(医学連)結成大会(〜11.14)。加盟校46校
11.13・米国俳優クラーク・ゲーブル来日
11.14・文部省調査で、昭和30年度小中学校新入生増加に伴う教室不足が深刻化、と新聞報道
11.15・日米放射能会議、東京で開催(〜11.19)。人体に対する放射線の最大許容量・放射能汚染の除去方法などを討議
11.16・バーナード・リーチ氏滞日作品展、日本橋三越で開催(〜11.21)
11.17・第1回教育映画祭開催。学校教育映画最高賞に岩波映画『蚊』、社会教育映画最高賞に月の輪製作委員会『月の輪古墳』選ばれる
11.18・武智鉄二、岩田豊雄『東は東』・木下順二『夕鶴』を能・狂言様式で演出。新橋演舞場で上演(〜11.20)
11.19・文化財保護委員会、新国宝・重要文化財などを指定。初めて重要民俗資料6件・無形民俗資料5件を選出
11.19・江藤俊哉帰国第1回ヴァイオリン・リサイタル、日比谷公会堂で開催
11.19・日本初の世界女子プロ・レスリング試合、東京蔵前国技館で開催
11.20・飯沢匡作・演出『二号』、文学座第61回公演で初演(〜12.5一ツ橋講堂)。第1回岸田演劇賞受賞
11.26・夏の全国高校野球大会優勝の中京商業高校で優勝旗盗難が発見される
11.27・日本のうたごえ実行委員会主催「原爆許すまじ」大音楽会開催
11.-・清水幾太郎編『マス・コミュニケーション講座』河出書房
11.-・木下順二・鶴見和子編『母の歴史・日本の女の一生』河出書房。生活を綴る運動が盛んになる
11.-・石田雄『明治政治思想史研究』未来社
11.-・大映『近松物語』封切り。溝口健二監督
11.-・全国にうたごえ運動広がる
12.3・田中千禾夫作・演出『教育』、俳優座公演で初演(〜12.16)
12.3・香椎浩平没(73歳)元陸軍中将、2.26事件の戒厳司令官
12.7・米ピアニストのジュリアス・カッチェン初来日
12.9・内閣、ローマ字の綴り方について訓令。公文書には訓令式使用を決定
12.10・国立国会図書館、原子力資料閲覧室開設を準備、と新聞報道。米国原子力委員会のレポートなどを公開
12.11・宮地韶太郎長崎大学教授が急死。死因は放射能研究によるレントゲン障害、心臓マヒ
12.13・ラジオはクイズばやり、人気の最高はNHKの『三つの歌』、と新聞報道
12.14・「ゆう・もあ・くらぶ」発会式。会長に徳川夢声、会員約500人
12.16・初の女性科学者の会「輝線会」発足。理化学研究所の加藤セチ・黒田チカなど参加
12.18・第1回アジア野球選手権大会、マニラで開催(〜12.26)。日本は準優勝
12.20・郭沫若、日本亡命中に執筆した中国古代史研究などの文献1500余点を中日文化研究所へ寄贈、と新聞報道
12.22・プロレス初の日本チャンピオンを決める日本選手権試合、東京蔵前国技館で開催。力道山が木村政彦に勝利
12.23・日経連、文部省に教育制度改善を要望。法文系偏重の打破・専門教育の充実・6年制職業専門大学の設置など
12.25・原子力海外調査団第1陣、欧米などに向け出発
12.25・外務省、訪ソ日本レスリング選手団に旅券発行承諾。訪ソ一般旅券の第1号
12.28・ニューヨークの演劇批評家協会、1954年度最優秀外国映画に『地獄門』(大映・衣笠貞之助監督)を選出
12.-・『マカレンコ著作集』三一書房
12.-・宇野弘蔵『経済政策論』弘文堂
12.-・叢書『世界各国史』(全15巻)刊行開始(山川出版社)。第1回『イギリス史』
12.-・江口朴郎『帝国主義と民族』東京大学出版会
12.-・福田恆存『平和論の進め方についての疑問』中央公論12月号。平和論争起る
12.-・歌謡曲『お富さん』流行。歌・春日八郎、作詞・山崎正、作曲・渡久地政信
詳しい年表は「新聞集成 昭和編年史」29年版I〜VI(新聞資料出版)をどうぞ
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